表札を木製で手作りしよう35年の技を8分にまとめた動画付きで解説
古くなってきた表札を買い換えようと思ってネットで検索したけど、なんか高いなー。あれくらいだったら自分で作れるんじゃないかな?そっちの方が安く済むかも?そんなに不器用ではないし。
もしあなたがそうお考えでしたら、その通りです。表札はご自身でも作ることができます。
今回、木製表札を作り続け35年の私のやり方をご紹介します。
手先が器用な方は、これを見るだけで自分で作ることが出来ると思います。
今回は伝統ある「薬研彫り」という彫り方で表札を作っていきます。
少しでも参考になれば幸いです。
1.手作り表札完成までの動画
2.手作り表札の為に必要な材料とその商品
写真の商品は実際私達が使っている物ですが、全て良いものを利用しているので非常に値段が高くなります。
ご安心ください。高い物を利用しなくても、表札を作ることは可能です。
今回ネットで手に入れる事が出来る物を用意しました。
- 刷毛
- 砥の粉
- 墨
- 彫刻刀
- 筆
- 硯
- ニス
- 日本手ぬぐい
- 歯ブラシ
- 絵の具
- タオル
- 木材
2-1①刷毛
item.rakuten.co.jp砥の粉を表札に塗る時に使用します。
2-2 ②砥の粉シムラ産業
item.rakuten.co.jp木の表面には導管という線が沢山入っています。砥の粉はその導管を埋め、木を平にする役割があります。
2-3 ③墨汁
item.rakuten.co.jp私が使用する墨は2,500円と高いものを利用していますが、市販で売られている墨汁でも大丈夫です。
2-4 ④彫刻刀
item.rakuten.co.jp私は彫刻刀もオリジナルで制作しているので、市販の物は使っていません。彫刻刀は楽天で売っている↑の物でも全然大丈夫です。
表札一つ彫るくらいであれば、砥石も買う必要がないです。ただ、何度も彫るとなると途中で切れ味が悪くなるので、彫刻刀用の砥石も必要になっていきます。
2-5 ⑤⑥⑦ 筆/硯/固形墨
item.rakuten.co.jpもしご自宅に墨汁のセットなどが無いようであれば、↑が手ごろで良いかと思います。
ご自宅にある方はそちらをご使用下さい。
2-6 ⑧ニス:ラッカースプレー楕円パターン
store.shopping.yahoo.co.jp表札に字を入れる前に、スプレーでニスを塗ります。この工程が無いと完成しません。
こちらのニスは、霧が細かくムラがなく塗ることができます。
2-7 ⑨日本手ぬぐい
item.rakuten.co.jp日本手ぬぐいは、ネオカラーを彫った木の中に塗る時に利用します。日本手ぬぐいは通常のタオルと違い、折りたたんだ時モコモコしてないので字の中に入った色まで拭いてしまう事がありません。
通常のタオルだとモコモコしている部分が彫った字の中に入ってしまい、塗った部分まで拭き取ってしまうので、日本手ぬぐいを利用します。
2-7 ⑩歯ブラシ
新品の歯ブラシをご使用ください。
2-8 ⑪墨入れ:ネオカラー黒600ml シムラ産業
item.rakuten.co.jpこちらのアクリル絵の具は光沢もあって、塗りやすく、扱いやすいです。水に溶かすだけなので、誰でも簡単に使用できます。
2-9 ⑫タオル
item.rakuten.co.jpタオルはご自宅にあるようなタオルで大丈夫です。砥の粉を拭く時に使います。
2-10 木曽檜
木材自体を手に入れるのは非常に難しいと思います。更に7寸に切ったものを一つだけ、となると更に難しいと思います。
なので、私の店舗で加工していない木曽檜を販売していますので、ご興味のある方はご連絡をください。0556-32-2107
楽天市場店では販売していません。勿論タオルや習字道具などご自宅にあれば、それで大丈夫です。
3.作り方とそれぞれにかかる時間
- ニス塗り
- 乾かし
- 毛質手書き
- 彫り
- 砥の粉塗り
- 色入れ
- ニス塗り
- 乾かし
- 完成
結論から申し上げると2日、時間が必要になります。「そんなにかかるの?」と思ったかもしれません。実際、彫ったり色を塗ったりする工程にはそこまで時間はかかりません。
ニスを乾かす時間に最低でも2日かけていきます。それではそれぞれの工程を詳しく見ていきましょう。
3-1ニスを4回重ね塗りする(乾かし時間1日)
ニスを塗る工程は以下のように4回、重ね塗りを行います。
- 1回目 → 30分乾かす
- 2回目 → 30分乾かす
- 3回目 → 1~2時間乾かす
- 4回目 → 1日乾かす
※雨の日は湿気があるので、晴れの日にニスを塗って乾かしましょう。
ニスは最初に4度塗っていきます。塗るごとに↑の間隔で乾かしていきましょう。
最初にニスを塗る工程はとても大切です。この後、砥の粉や色を木の上に塗ったりします。それがキレイに拭き取れるかどうかはニスがしっかりと塗られているかどうかにかかっています。
3-2.毛質手書き(2~5分)
木の上に筆で名前を書いていきます。ここで使用するのは普通の墨汁です。字が綺麗に書けるのか心配な方もいると思います。そこが手作り表札の良い所だと思います。集中して書いていきましょう。
※Point
習字に自信がない方は、ワードでフォントサイズを200にして名前を打ちましょう。好きなフォントを選んでプリントアウトし、お手本を隣に置きましょう。
3-3 彫刻刀を使い字を彫っていきます(薬研彫り)約20分
薬研彫りとは簡単に説明すると、溝がV字になる手法です。深さ2~3ミリになるように彫っていきます。
3-3-1 彫る時のポイント(右手)
右手は方向を変えるだけの動きに使いましょう。右手で力を入れようとすると彫刻刀が木に入っていきません。
添えて自分が彫りたい方向に誘導してあげましょう。
3-3-2 彫る時のポイント(左手)
左手の親指は彫刻刀の背中に着けます。右手の親指に力を入れ2~3ミリ程度の深さに彫りましょう。
3-3-3 表札自体を移動させる
ついつい面倒になって、表札を動かさずに手をずらしてしまうと思います。私もお恥ずかしながら、これで何度も失敗した経験があります。
力がしっかり入るように、手元に表札を移動させましょう。
※動画2:8秒からご覧ください
3-3-4 横の線から彫る
2-2でお伝えしましたが、木には導管といって、縦に沢山の線が入っています。
二つの線が「縦と横」に交わる所は特に注意が必要です。縦に彫った時に他の場所まで割れてしまう事が多々あります。
そこで、最初に横に線を引くように切れ目を入れ、その切れ目に向かって縦に彫っていきましょう。すると、上手に彫ることが出来ます。
3-4.砥の粉(とのこ)を水で薄める(2分)
2-2でお伝えしましたが、砥の粉は導管を埋める役割があります。これにより色が綺麗に入りますので、必ず必要な工程です。
砥の粉は水と1:3の割合で割っていきましょう。水っぽくなれば完成です。
3-4-1 砥の粉を塗る(30秒)
刷毛で彫った部分に砥の粉を塗っていきます。ムラのないように丁寧に塗っていきましょう。
塗り終わったら乾いたタオル文字の中、文字の周りの砥の粉全て綺麗に拭き取ります。
拭き終ったら砥の粉が乾くまで待ちましょう。
ドライヤーで乾かせば2~3分、自然乾燥なら1時間は待ちましょう。
3-5.砥の粉が乾いたらネオカラーを入れます(2分)
色入れをする前に、液自体を作りましょう。ネオカラーさんの商品を使っていきます。
原液7:水3の割合で混ぜて滑らかにしていきます。
溶かし終わったら、濡らしてよく絞った日本手ぬぐいと、歯ブラシを用意します。
砥の粉がしっかり乾いた後、上から色をブラシで入れていきます。ムラのないようにしっかり入れていきましょう。
3-6.はみ出したネオカラーを拭き取る(30秒)
3度ニスを塗り、乾かした状態の木なので、拭き取ると面白ようにキレイに落ちていきます。
この時、色が入った字の中に手ぬぐいが入らないようにしてください。色が手ぬぐいについてしまいます。
砥の粉がしっかり塗られていれば、色も字から染みることなくキレに入ります。
3-7.ニスを4回重ね塗りする(1日)
ここは3-1と同じ工程を踏んでいきます。
- 1回目 → 30分乾かす
- 2回目 → 30分乾かす
- 3回目 → 1~2時間乾かす
- 4回目 → 1日乾かす
3-8.1日乾かして仕上がり
4.総費用
それではここまでにかかった総費用を見ていきましょう。送料は計算に入れません。
- 刷毛 302円(税抜)
- 砥の粉 486円(税抜)
- 墨汁 1080円(税抜)
- 筆 硯 彫刻刀 4,666 円(税抜)
- ニス 734円(税抜)
- 日本手ぬぐい 177円(税抜)
- 歯ブラシ
- アクリル絵の具 2,634円(税抜)
- タオル 410円(税抜)
- 木材 2000円(税抜)
合計約11,755円となります。
約と入れたのは、リンクより安い商品を選べばもう少し安く抑える事ができるという意味で、約を入れています。
習字セット、タオル、日本手ぬぐいなど自宅にもあると思います。それらを除いた金額が約6,156円(1.2.5.8.10)となります。
5.真美堂表札店制作事例
私は18歳の頃から表札を作り始め、もう35年になります。ありがたい事に店舗に届いたレビューは1000件を超えます。
こちらでは、私達が作った表札の例を1部紹介させて頂きます。ご興味のある方は↓のバナーから事例ページへどうぞ。
6.まとめ
いかがでしたでしょうか?手作りは時間も手間もかかりますが、それが手作りの良い所だと思います。
温かみのある木製表札が完成することを願っています。